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新年のご挨拶<令和7年 年頭所感>

中部近畿産業保安監督部長  
中部近畿産業保安監督部長  正影 夏紀

 

 令和7年の年頭に当たり、謹んでお慶びを申し上げます。また、平素から、産業保安の確保のための取り組みと産業保安行政への御高配に感謝申し上げます。

 

 昨年は、1月に能登地方を震源とする大きな地震被害が発生し、8月には初めて「南海トラフ地震臨時情報」が発表され、また、台風や線状降水帯による被害が相次ぎ発生するなど、緊迫した場面の多かった一年でした。被害に遭われた皆様には心からお見舞いを申し上げますとともに、現場で復旧作業にあたられた皆様には深く感謝を申し上げたいと思います。

 

 2019年に運用が開始されてから初めて発表された「南海トラフ地震臨時情報」ですが、どう対応するか思い返してみますと、報道などでも紹介されていた様に「日頃からの地震の『備え』を再確認する」ことに行き着くのではないかと考えます。日々の業務や訓練から得た経験を発災時の対応手順に反映したり、職員の技能向上を図るなど、私達も地道な取り組みを続けて行くことが大切であることを再認識しました。

 

 当部では例年の行事として、保安確保のために尽力し功労のあった個人や団体に対する表彰を行っており、5月は鉱山保安功労者、8月は電気保安功労者、10月はガス保安功労者、11月は高圧ガス保安功労者を表彰するなど、個人42名と20事業者の永年にわたる保安確保に対する御努力、御功績に深謝する機会とできましたことは、私にとりましても大変喜ばしいことでした。

 

 一方、当部管内における昨年の事故発生状況等を踏まえ、それぞれの保安分野ごとに事故防止に向けた注意喚起や指導を実施してまいります。

 事故防止のためには、普段との違いを軽視しないこと、事故が発生した場合は原因究明と再発防止対策をしっかり行うことが重要だと思います。

 

 また、産業保安分野でも、プラント等の老朽化や保安人材の不足・高齢化といった構造的な問題が顕在化しており、IoTやビッグデータ、AI、ドローンなどの革新技術を活用した「スマート保安」の導入とGX(グリーントランスフォーメーション)に向けた取組は不可欠だと思います。本年も引き続き保安体制の構築や強化などに向けた御尽力をお願いしたいと思います。

 

 昨年の産業保安に関係する主要な動きに触れさせて頂きますと、水素とCCSに係る国内規制整備が挙げられます。水素に関しては、昨年の通常国会において、いわゆる「水素社会推進法」が成立し、低炭素水素等の製造、輸送、貯蔵、利用に関する保安規制が整備されるとともに、コストの高い水素等の製造、輸送などを支援する制度も導入されました。水素社会推進の前提となる安全性を確保すべく、これらの規制をしっかりと実施してまいります。CCSに関しては、同じく昨年の通常国会において、二酸化炭素の回収・貯留に関する基本的な枠組みを定めたいわゆる「CCS事業法」が成立しました。この法律は、二酸化炭素の回収・貯留に関する基本的な枠組みを定めており、貯留事業等の許可制度とともに保安規制が整備されています。2030年までに民間事業者がCCS事業を始められる環境を整えるべく、規制制度の施行に向けた準備を着実に進めていきます。

 

 産業保安監督部は、「国民の安全の確保と環境の保全」の実現を目標に掲げ、「強い使命感」「科学的・合理的な判断」「業務執行の透明性」「中立性・公正性」を行動規範としており、引き続き関係機関とも連携しながら関係法令の適正な執行に取り組んでまいりたいと考えております。

 

 末筆となりますが、関係各位の御健勝と御多幸、そして死亡事故ゼロの一年となりますことを祈念いたしまして、新年の御挨拶とさせていただきます。

最終更新日:2025年1月6日