1. ホーム
  2. 令和6年 年頭所感

新年のご挨拶<令和6年 年頭所感>

中部近畿産業保安監督部長  
中部近畿産業保安監督部長  正影 夏紀

 

本年1月1日に発生した令和6年能登半島地震において亡くなられた方々に心からお悔やみを申しあげるとともに、被災された全ての方々にお見舞いを申し上げます。あわせて、元日から本件震災の対応に当たられた皆様のご尽力に心からの御礼を申し上げます。

経済産業省としましても、人命第一の原則のもと、①電気・ガス等のライフラインの早期復旧、②ストーブ等の暖房器具や灯油などの必要物資の支援、③被害状況や復旧状況等に関する適切な情報発信等に緊張感をもって取り組んでまいります。

 

昨年を振り返りますと、新型コロナウイルス感染症も昨年5月に感染症法上の位置づけが5類へ移行し、生活様式や社会経済活動が徐々に戻ってきたことを実感する1年でした。

 

当部では例年の行事として、保安確保のために尽力し功労のあった個人や団体に対する表彰を行っており、6月は鉱山保安功労者、8月は電気保安功労者、10月はガス保安功労者、11月は高圧ガス及び火薬類の保安功労者を表彰させていただきました。個人47名と22事業者を表彰し、永年にわたる保安確保に対する御努力、御功績に深謝する大切な機会とできたことは、私にとりましても大変喜ばしいことでした。

 

平素からの備えを心掛け普段との違いを軽視しないで、事故が発生した場合は原因究明により再発防止を図ることが重要です。本年も引き続き保安体制の構築、強化に向け、御理解、御尽力をお願いしたいと思います。

 

さて、産業保安分野でも保安人材の不足・高齢化など、産業保安を継続的に確保していく上での課題が顕在化しています。産業保安やその規制体系の前提となる経済社会情勢などが大きく変化する中、IoTやビッグデータ、AI、ドローン等の新たなテクノロジーが革新的に進展をしており、これらの技術を活用し、収集したデータを駆使することにより、保安水準の向上と操業の効率性・生産性を持続的に向上させる取組である「スマート保安」の時代を迎えております。

 

また、日本全体で取り組みが求められているカーボンニュートラル(CN)に関してですが、例えば、脱炭素燃料である水素・アンモニアはCN達成に不可欠なエネルギー源であり、安全を前提とした利用環境の整備を着実に実施していくことが必要です。経済産業省は昨年3月に水素サプライチェーン全体をカバーした合理的な保安規制体系の構築に向けて今後5年から10年程度の官民の行動指針である「水素保安戦略」を公表しました。昨年8月には経済産業省の審議会の中に「水素保安小委員会」を新たに設置し、将来の水素社会等の実現も見据え、保安の制度的措置や保安の在り方について議論を進めているところです。

 

CO2対策についても削減が困難な産業を念頭に置きつつ、地下に貯蔵する技術であるCCSを円滑に推進するにあたり、CO2の導管輸送や地下貯蔵時の保安を確保するため、ガス事業法や鉱山保安法なども踏まえ、新たな規制体系を構築すべく検討を進めているところです。

 

その他の最近の動きも簡単にご紹介しますと、2022年6月に成立した「高圧ガス保安法等の一部を改正する法律」は関係法令の整備等を行い、昨年12月21日に施行されています。また、太陽電池や風力による発電設備の保安規制見直し、ガス事業者間の災害時連携計画の事前策定義務付け、保安人材不足への対応、「認定高度保安実施事業者制度」の創設、燃料電池自動車等の規制一元化も行われています。

 

産業保安監督部は、「国民の安全の確保と環境の保全」の実現を目標に掲げ、「強い使命感」「科学的・合理的な判断」「業務執行の透明性」「中立性・公正性」を行動規範としており、引き続き関係機関とも連携しながら関係法令の適正な執行に取り組んでまいりたいと考えております。

 

末筆となりますが、関係各位の御健勝と御多幸を心から祈念いたしますとともに、産業保安行政への御理解と御協力を引き続きお願い申し上げまして、新年の御挨拶とさせていただきます。

最終更新日:2024年3月15日