平成30年 年頭所感

    中部近畿産業保安監督部長 磯部 隆

 

 平成30年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。平素より、産業保安行政並びに産業保安の確保に対し、ご理解とご協力を賜り誠にありがとうございます。

 

    昨年、国内では度重なる台風の襲来による風水害被害や九州北部豪雨ほかでの豪雨被害等、多くの大規模自然災害に見舞われた一年となりました。また、産業分野においても送電用ケーブルからの出火による大阪府内の大規模停電事故など社会に重大な影響を及ぼすライフライン関係の重大事故が発生しました。

 

  当部管内で所管する産業分野の事故や災害の発生については、以下のような状況でありました。
 電気関係では、配電工事中の作業者が被災された感電死亡事故や、施設内の配線作業中に電気工事作業者が被災された感電死亡事故のほか、設備の経年劣化や保守不備により周囲を停電させた波及事故も多く発生したことを受け、迅速な原因究明とともに再発防止の徹底を図りました。 
 ガス事業関係、液化石油ガス関係では、火傷、火災、一酸化炭素中毒等の事故の発生は数件あるものの、特に大きな事故は発生しておりません。高圧ガス関係では、冷凍設備からの冷媒ガスの漏えい事故等が多数見られ、石油コンビナート地域での事故は依然として多く、関係機関とも連携して事故防止に取り組んでいるところです。
 鉱山では、転倒、逸走車両への巻き込まれや取扱中に落下した配管への接触による骨折などの重傷災害が複数件発生するなど、ここ数年と比較して災害件数が多い結果となりました。当部としては、現地に赴き、災害の発生状況を調査し、原因究明を指導するとともに、保安法令の遵守やリスクアセスメントの実施など安全対策の徹底を図りました。
 これら事故や災害に対して、原因の究明や再発防止対策の検討を指導するなどのほか、広く関係機関や類似施設等への注意喚起や情報提供等を行って参りました。今年も事故や災害の未然防止に向けた取り組みをより一層強化し、特に、人命・公衆保安に関わる事故に対しましては、迅速かつ徹底した対応に努めて参ります。

 

 また、中長期的には各産業での事故、災害の件数は年々低減する傾向にありますが、これは、常日頃から保安の確保を担っておられる方々が高い保安意識を維持しつつ着実でたゆまない努力を積み重ねてこられてきた結果であり、経済産業省としましても、永年にわたりそのような活動に取り組まれた方々の栄誉を讃え表彰させていただいております。昨年は、当地域において経済産業大臣より個人16名、5事業者を、私から個人72名、26事業者を表彰させていただきました。今年も保安確保に励まれている方々のご功績を顕彰させていただき、職場、地域、業界全体で保安確保に向けたモチベーションを一層高めていきたいと考えております。

 

 自然災害という観点では、中部地域においては特に地震対策の強化が重要であり、発生が懸念されている南海トラフ巨大地震の注意情報の発出方法が見直されるなど、変化する環境にも適切に対応していかなければなりません。東海地域においては、国内最大のゼロメートル地帯における台風、洪水等への対策も重要です。北陸地域においては、地震、洪水、土砂災害等の大規模災害に対する備えに加えて、山間部においては、雪害対策も重要です。当部としても、他地域における災害対応の教訓、反省を十分に活かし、今年も引き続き関係機関等と緊密な連携を図りながら、中部地域における防災力のさらなる向上に努めて参ります。

 

 経済産業省では、我が国の産業が目指すべき姿として、人、モノ、技術、組織等が様々に繋がることにより新たな価値創出を図る「Connected Industries」を提唱し、その5つの重点取組分野の一つとして「プラント・インフラ保安」をあげています。将来的な人手不足・高齢化、設備の高経年化により、産業基盤としての産業保安が毀損されることに備えるためには、IoT、ビックデータ等を効果的に活用し、現場の自主保安力を高め、企業の「稼ぐ力」の向上を図ることが重要であることから、安全性と収益性を両立させる「スマート保安」の推進に取り組んでいるところです。

 

 また、経済産業省では、昨年7月に商務流通保安グループを産業保安グループと商務・サービスグループとに分けるとともに、電気・ガス・鉱山などの産業保安行政に係る組織の機能強化を図りました。当部におきましては、この組織改編なども踏まえ、当地域の産業保安の確保により一層努めてまいる所存です。

 

 ご承知のとおり、中部地域は我が国を代表するものづくり産業の集積地です。経済産業省では、中部地域の航空機等の次代を担う戦略産業の創出・育成や地域未来投資促進法による地域活性化に取り組んでいますが、当地域における産業活動や国民生活を営む上において、エネルギー・資源の安定供給を図るための基盤の確保が極めて重要であります。

 

 当部では、平成17年4月の発足以来、「国民の安全の確保と環境の保全」を目標に掲げ、「強い使命感」、「科学的・合理的な判断」、「業務執行の透明性」、「中立性・公正性」の4つの行動規範に基づき、関係法令の厳正かつ公正な執行、事故や安全に関する迅速かつ適切な情報提供などにより、地域の安全・安心体制の構築に努め、地域の経済発展の下支えとなるよう職員一丸となって業務に取り組んで参りました。
 皆様におかれましては、これまでも事故や災害の防止に向け多大なご尽力をいただいているところですが、近年ますます高まっている「安全・安心」に対する社会的要請を受け、さらなる産業保安の確保に対して万全を期す必要があることから、当部としても全職員一丸となって皆様とともに地域全体の「安全・安心」に貢献できるよう、全力で取り組んで参る所存です。

 

 最後になりましたが、皆様のご健勝とご発展を祈念いたしまして、新春の挨拶とさせていただきます。

 

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